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新築、リフォーム、古民家の再生等、企画・設計・施工をプロデュースする
広島の総合建設業/一級建築事務所 株式会社 ウイズアートのNews(ブログ)です。

今を生き生きと vol.16

2019/08/23

『ユートピア』
 

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 日本は優れた素晴らしい国だと思います。地方の隅々までインフラ整備が整っており、広島から白馬までの車窓から眺める民家は、他の国のように物寂しさはなく、どの家も暖かく往来のある家々のように見え、少子化の波が此処かしこに見受けられます。しかし、その地方の国土を上手に有効に生かすことが出来れば新たな令和の「心豊かな時代」を築くことが出来るのではないでしょうか。華々しく、晴れやかに振舞うことなく、穏やかに身の丈にあった個々の充実した生活ができる国家を望みます。
それにしてもここ白馬は素晴らしい村です。近くから望む朝焼けの北アルプスや水量豊富な川の流れ、又緑豊かな田園風景は私に晴れ晴れしさと生きる勇気をもたらせます。東京からわずか3時間足らずでこの場所に来ることの出来る交通網、2027には東京-名古屋が最速40分で結ばれます。
最近読んだ本に “高層ビルは少し間を置くように深い森の中に立っている。車や電車はみな地下の専用レーンを走り、ビルの外に出ると、そこは、まさに森の中。住宅は緑に隠れるように建てられ、歩けば、足元で木漏れ日が揺れ、梢で鳥たちのさえずる。・・・” と述べています。まるでこの白馬の村に高層ビルが建ちその地下に東京からの専用レーンが整備されているそうです。
風土や風景、風情は人を創るのでしょう。戦国の武将もきっとアルプスを眺め、あるいは海や川、そして京都といった大都市(当時の都)などから何かを感じ自己実現の志を持ったのでしょう。今の私たちはどうでしょうか。今、世界はワンワールドです。私達の大切な地域が後回しになっているようです。日本も世界の人々も日本イコール東京と感じているのではないでしょうか。
トロイの遺跡を発見したシュリーマンは遺跡を発見するその六年前に日本を旅して、日本人が箸で食事する所作に優雅さを感じ、町の至る所にある混浴の銭湯の風情に「清潔でなんと清らかな素朴さだろう」と感嘆しています。ヨーロッパの男性名詞、女性名詞、中世名詞といった区別を待たない日本の歴史からはヨーロッパとは異なる男女の公平さを感じたのでしょう。そのほかヨーロッパの家具に比べて日本の食卓の多様性のすばらしさ、洟をかむための懐紙に比べヨーロッパの人が使用するハンカチーフにぞっとするとも書かれていましす。又、田舎にある寺々を訪れては「簡素な風情ではあるが、秩序が息づき清潔さに心を打たれ、聖域を訪れるたびに大きな歓びをおぼえた。」とも記し、世界のどの国にもましてよく耕された日本の土地をも印象深く紀行文に書き残しています。そのほか色々と興味深い人情、風俗が記されています。
平和都市と言われている私が暮らしている広島の地はどんな風土、風景を持っているのでしょうか、被爆地に至るまでの広島、その一瞬に歴史、文化が埋もれてしまった広島、そこからどう未来を夢見るのか、心豊かに住まうためには私たちは自分の“身の丈”をどうとらえているのでしょう。歴史、文化から自分の知識、教養を深め「心豊かな」暮らしを次世代の人々と共に共有したい思いです。「人、物、金、情報」だけでは何か物足りなさを痛感します。

次世代と共に『夢見る環境』を建築という仕事を通して社会貢献できればと考えさせる白馬の風景です。

2019.8.23 白馬にて
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